どの業界にも存在する業界用語。 生体認証 (バイオメトリクス) 業界も例外ではなく、数多くの特殊用語が存在します。 本記事ではその中のいくつかをご紹介いたします。
EER
Equal Error Rateの略。日本語では等価エラー率と呼ばれています。 FARとFRRが一致するように閾値を事後的に調整した際のエラー率です。 EERは認証技術の精度性能の目安とされることが多く、小さいほど精度が高くなります。
FAR
False Acceptance Rateの略。 日本語では他人受入率と呼ばれています。 認証しようとしている人が他の人で認証されてしまう確率です。
FMR
False Matching Rateの略。 日本語では誤合致率と呼ばれています。 たとえば、指静脈認証や指紋認証では、異なる指同士の照合判定の結果、同じ指と判断される確率です。 FMRは1回の照合に対する確率を意味します(FNMRと同様です)。
FNMR
False Non Matching Rateの略。日本語では誤非合致率を呼ばれています。 たとえば、指静脈認証や指紋認証では、同じ指同士の照合判定の結果、異なる指と判断される確率です。 FNMRは1回の照合に対する確率を意味します。 たとえば、3回まで指を提示できるシステムにおいて、1回目・2回目で照合失敗し、3回目で成功した場合には、FARはエラー確率0 (1回試行1回成功) となりますが、FNMRはエラー確率66.7% (3回試行1回成功) となります。
FRR
False Recognition Rateの略。 日本語では本人拒否率と呼ばれています。 認証しようとしている本人であるにもかかわらず、認証がエラーになる確率です。
FTER
Failure To Enroll Rateの略。 日本語では登録未対応率と呼ばれています。 何らかの理由で生体情報を登録できない割合です。
識別・照合
「識別」は、多くの対象者から特定の人を判定すること。 1:N認証とも呼ばれます。 一般的には、提示された生体データに対して、データベース上の全データと比較処理を行います。
「照合」は、指定された人に対し、その人かどうかを判定すること。 1:1認証とも呼ばれます。識別とは異なり、一般的には、対象者1人のデータとの比較処理を行います。
閾値 (しきいち)
登録データと照合データの類似度や距離に関して、本人と判定する値です。 閾値の値を変更することで、「FRRが多少大きくなっても良いのでFARを小さく」「FARが多少大きくなっても良いのでFRRを小さく」などの精度と利便性の調整を行うことができます。
脆弱性
一般的には、システム上のセキュリティの弱点です。 生体認証においては、人工物による生体特徴情報の提示が代表的です。 人工物提示に対する性能評価を脆弱性評価と呼び、エラー率評価とともに、生体認証性能を示す指標として使用されています。
テンプレート
特定の生体認証向けに登録された生体情報です。
登録
テンプレートを作成する一連の処理を指します。 たとえば、指静脈認証や指紋認証では、通常は対象となる指を機器に提示することにより実現します。
バイオメトリクス認証
生体認証と同義です。
本記事の著者
出口 豊 株式会社モフィリア 経営管理部門 技術推進部長 |
山田 知宏 株式会社モフィリア シニアセールスマネージャー マーケティング担当部長 |